アメ、ときどきチョコレート


 さわさわとわたしの長い髪を、春の風が揺らす。もう日は暮れかかっている。



 
 その時、わたしの携帯が鳴った。友達の芽衣からだ。





『俊にチョコ渡せたよー❤OKだってー(´∀`*)ウフフ


 ハッピーバレンタイン♪』




 
 わたしは携帯を閉じて、ふうっと息をついた。





 芽衣は、隣のクラスの俊一に、告った。で、無事オーケーされたとのことだ。




 
 芽衣は、かわいい。髪の毛はふわふわしてて、目も、とてもぱっちりしている。




 そんな芽衣だから、まあオーケーされるだろ、と思っていた。対して深く考えてもいなかった。




 
 予想通り、芽衣は、ずっと想っていた相手、俊一と、付き合うことになった。








「ミーワ、おっはよー♪」





 ごきげんな声でわたしにあいさつする芽衣。




 わたしはポケットをゴソゴソやって、スースーするミント味のガムを取り出した。
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