アメ、ときどきチョコレート

「芽衣、食べる?」




 ごきげんな芽衣は、何も考えずにガムを受け取る。




 そして、数秒間クチャクチャやっていたかと思うと、「んっ!!」と叫んで目に涙を浮かべる。






「ちょっと、ミワひどいじゃない!これ、激辛じゃない!!!」






「バレたか」






 そう言ってわたしはちょっと笑うと、ガタンと席を立った。




「どこ行くのよー!」と叫ぶ芽衣を残し、屋上へ向かう。





 
 屋上は、本当は立入禁止なのかもしれない。でも、ちょっと針金とか爪楊枝とか、細長いもので鍵を突っついてみれば、そのうちに開いて、あっさりと入ることができる。






「恋、ねえ」





 恋をしている人は、美しくなるという。実際そうなのかもしれない。




 でも、恋にまつわる多くに話は、今のわたしにはまるで関係のない話である。



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