円舞曲「RONDO」〜鍵盤と弦だけを〜
プロローグ
-リュウキSIDE-
フランス、パリ郊外。
あるホールでコンクールの決勝が行われていた。
そこで呼ばれた一人の男の人の名前。
「優勝、咲夜リュウキ。」
咲夜リュウキ(さくやりゅうき)、18歳。
父が日本人ピアニスト、母がフランス人ピアニストというハーフ。髪の色、金。瞳の色、黒にちかい青。
「リュウキ。明日は次のコンクールのためにオーストリアへ行くわよ。」
「わかってる。」
俺の母さんはピアニスト。だから母さんにピアニストにさせられた。決して嫌な訳ではないけど、少し違う音楽にもふれてみたい。
「母さん。」
「なに?」
「父さんのところにはいつ帰るの?」
「オーストラリアでのコンクールが終わった2週間後よ。」
「わかった。」
俺はコンクールのためにまたピアノを練習する。
俺はこの生活を、ずっと続けていくのだろうか……