君の生きた証~love in war~
こんな静かなキス、初めてだった。

いつも、くだらない冗談や遊びみたいにキスしてたから。



それに、こんなに異性の存在を心地よく、愛おしく思えたのも初めてだった。





アレンと部屋で交わしていた会話を不意に思い出す。








『ロルフ、もう無駄にエレノアをいちゃつくのはやめろ』


制服を脱ぎながら、ため息をつくアレン。


『パトリシアが泣くだろ』

『へぇ、お前はそういうのないのかよ』

『・・・そういうのって』

『女遊びは、男の本能だろ。あ、ナタリーが扇情的過ぎて、他の女にはそういうこと思わないとか?』

『・・・俺たちは、お前が思ってるほど大人じゃねぇよ』



アレンは、少し困った様子でそう言っていた。



『相手がそばにいるだけで、心が安らぐ。キスするだけで、世界の全てが愛おしく思える。そんな恋が、あるんだよ』




そのときは、もう2人はキスまで進んだのかとぼんやり嫉妬しただけだった。

だが、今なら。




体を重ねて抱き合うことでなくても、相手を大切にするすべを俺は知っている。

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