君の生きた証~love in war~
「あぁ、俺もさ。だから、もう口を閉じろ!」

「さい・・・ごなの・・・に・・・」

「最後じゃねぇよ!俺にだってお前しかいないんだ!」




そんなこと。

言わないで。


離れがたくなるだけだわ・・・



あぁ、逝きたくない・・・

ここにいたい・・・




そうよ。

私は、ただ幸せになりたかった。

普通に平凡に、生きていたかった。



それは、幼い日に両親を亡くしてから、ずっとずっと願ってきたことで。

ずっとずっと叶わなかったことで。





どうして、アレンは祖国に銃を向けねばならなかった?

どうして、パトリシアが泣かねばならなかった?

どうして、ロルフが苦しまねばならなかった?




私は・・・

どうして・・・幸せになれなかった・・・?





ただ、アレンがテニスをしていたり。

ただ、パトリシアとカフェで談笑したり。

ただ、ロルフが明るく笑っていたり。




そんな幸せが、ごく当たり前の幸せが、ほしかっただけなのに・・・










でも・・・


これが運命なら・・・



「あれ・・・ん・・・幸せになって・・・ね」

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