君の生きた証~love in war~
引き出しの中をあさっていた手に、やわらかい布の感触があった。



「・・・・・・?」





取り出すと、青いリボンだった。

俺たちの学院では、男子生徒はネクタイ、女子生徒はリボンを、それぞれシャツの首もとにつけることが決められている。



女子生徒のリボンは、いろいろと種類があり、どのリボンをつけるかで学校内での立ち位置が何となく分かる。




太めのや、柄が入っているものは、華やかな女子生徒。

まぁ、ロルフと仲がいいタイプの子たちだ。



紐ぐらい細く、無地のものは、真面目な女子生徒。

先生に気に入られるような子たち。



新聞部の生徒は、その中間くらいの太さのを愛用している。

ことに、ナタリーは、その青い瞳によく似合う濃紺のタータンチェック柄を。




でも、教師陣の指導が厳しくなる体育祭前後は、全体的に細めの無地が人気になる。

ナタリーも例に漏れず、いつもより少し細いリボンを身につけていた。




体育祭が終わって、何か思い出に交換しようかと俺が言うと、ナタリーは、ポケットからこのリボンを取り出した。

そして、俺も、自分のネクタイを差し出したのだ。








そんな思い出すら・・・


こんなにも鮮やかだ。









忘れられるわけがない。

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