ハート交換
公園の並木道を二人並んで歩いている姿は、まるで恋人同士。


誰もお互いの心が入れ替わっているなんて思わないだろう。


そして、誰も互いの声が心の中から聞こえてくるなんて思いもしないだろう。



「あの・・・昨日聞きそびれちゃったんだけどアルバイトってどんなことするの?」



なみかが心配そうな顔をして歩きながら言った。



「えっとね、クレープ屋と花屋なんだ。2つは同じお店の中でやってるんだけど・・・」


「私達、別々に働くんだ。」



そう言って、なみかはちょっと非難がましい目で俺を見つめる。その瞬間、俺の心はドキッとした。



「違うって。忙しいお店の方を二人で手伝うんだ。お店のスタッフみんないい人ばっかりだからさ。」


何、焦って説明しているんだろ俺。
「ゴホン。」軽く咳払いをし気持ちを落ち着かせる。


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