ハート交換
会場は、照明ライトが押さえ気味の明るさなので薄暗い


展示品の保存維持の為なのか、この季節にはまだ早い冷房がつけられており周囲の空気はヒンヤリと冷たい


少し心ぼそくなって後ろを振り返ってみても誰もくる気配はなかった


「やっぱり、もっと早く来るべきだったかな」


今更後悔しても遅いのだがこの時ばかりはそう思った


ポタポタ―水の滴るような音が聞こえてくる


音響も人が大勢いるところで聞くと癒しになると思うのだか、今は不気味な感じがして怖かった


その時だった


「スゲー!!」


この会場に相応しくないすっとんきょうな雄叫びが数メール前からコダマして聞こえてきたのである


先ほどの変わり者の学ラン男子に違いない



< 12 / 284 >

この作品をシェア

pagetop