ハート交換
きっと誰もいないと思っているのだろう


残念でした。あなたのすぐ後ろを影の薄い女子高生が歩いていますよ。


せっかくの【古代エジプトの秘宝】展示会場貸し切り状態。


わたしもこの状態を楽しみたい所ではあるけど、このビビり気味の心臓がそれを許さない。


震える足を何とか前にだしていたのだが、あんなすっとんきょうな雄叫びを聞いてしまっては、それも馬鹿馬鹿しく思う。


「最高―イェーイ!」

また、聞こえてきた。まるで子供である。


きっと、展示品をガラスにへばりつきながら嬉々揚々に叫んでいるのだろう


「童心にかえりすぎだよ。」


そう呟いてみたものの彼がとても可愛らしく思えてきた。


先ほどの恐怖心は何処へやら。わたしは、失笑をかみ殺しながら彼の後をつられるように歩いていった



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