ハート交換
あぁ、千夏にもう一度会いたい。



いつも写真の中でしか妹の成長を確めることができないでいた。



妹に話しかけてはいけないとキツく言われているけれど、せめてもう一度会いたかった。



「な、どうしたの?」


晃が心配そうな顔をしてこちらを見つめている。



私は涙が無意識にこぼれていた。




今まで自分の心を偽っていた。
妹を失った傷をひたすら心の中でなかったことにしてきた。



だけど・・・千夏に会いたい。



その自分の思いに嘘をつくことが出来なかった。



『泣くなよ。会いたいなら会いたいに行けばいい。親の言葉に縛られたりしないで、自分の気持ちに正直になればいいじゃないか。』


晃の心の声が聞こえてきた。



私の心の中でやさしく響いている。



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