ハート交換
部活に集中し過ぎるあまり、終わってから駅のホームに着くまで、俺は意識が飛んでいた。



「晃・・・大丈夫か?」



同じ剣道部の伊藤が心配そうにこちらを見ている。



「もうすぐ電車が来るぜ。」



「おう・・・・」



伊藤の言葉に誘われるようにフラリとベンチから立ち上がる。



ガタンガタン。



立ち上がったのと同時に電車が到着した。



俺たちは、黙って電車に乗り込んだ。



帰りの電車内は、いつも満員電車だ。



人の波に押されるようにして気がつけば車両の隅っこに追いやられていた。



疲れて抵抗する気力もない。
俺は早く帰りたかった。



足下のスニーカーをぼぉーっと眺めていると、突然伊藤が電車内の広告に指を指した。





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