ハート交換
嵐の夜
カタン―。掃除道具を乱暴にロッカーにしまう

「水沢、後は掃除頼んだ。俺達これから部活があるから。」


「わたし、これから病院に行かないといけないんだ。ごめんね。後はよろしくね。」


だから何?わたしだってこれから用事があるのに


でもそんなこと言えるわけない。


わたしは黙って頷く。「シカタナイヨ・・・」


小さな声でそういうのが精一杯。


みんなあっという間にいなくなって教室にはわたしだけになった。

これがわたしにとっていつもの光景いつもの日常


友達なんていなかったし、普段は誰もわたしに話かけてこない


話をするのは用事がある時だ。


淋しいだなんて思ったこともない。


世の中は不平等にできている。人気者は生まれた時からそうだし、嫌われ者は生まれた時からそうなる運命にあるのだ。


< 2 / 284 >

この作品をシェア

pagetop