ハート交換
彼女は、傘を小さく縦にふって答えた。


「やっぱり・・・あの俺も昨日行ったんだけど覚えてるよね?」


また、ピンクの水玉傘が縦に揺れる。


「その時、傘が入れ替わったみたいなんだ。ほら、君の傘は僕が持ってる。」


「え?」少し驚いた様子で彼女は傘から顔を出した。


「それわたしのナマエガカイテアル?」


蚊の鳴くような声で聞いてきた。


「書いてあるよ。ほら。それで分かったんだ。」


俺は、傘がよく見えるように更に彼女に近づく。


「ここ!見てみ。」


水沢なみか


彼女の名前が書いてある部分を指さした。


「本当だ。それ、わたしのだ。」


お互いに目があった。
あはは―


やっとわかってもらえたようだ。良かった!

「はい。これ。」


「ありがとう。」



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