ハート交換
お互いの傘を交換したその時だった。


俺の手と彼女の手が偶然触れ合った瞬間 、心臓がドキュンと波うった。


まるで、見えない赤い糸と赤い糸が一つに結ばれたように二人の心が一つになる。



心と心
互いの存在に
今、完全に気がついた



「あぁ・・・俺の心が」



「・・・・わたしの心が」



「「君の中にある!」」




「・・・・・・」


耐え難い沈黙が続いた後




「ギャー!!!」


先に叫んだのは彼女の方だった。





落ち着け落ち着け。


どんなにそう思っても無理だった。発狂しかかって屋上から飛び降りようとする彼女を静止することなどできるはずもない俺は、ポカンと口をあけたまま立って呼吸をする。


それだけで精一杯。


< 53 / 284 >

この作品をシェア

pagetop