ハート交換
「イヤ―!!!」


頭を抱え、屋上のフェンスを越えようと必死にもがいている彼女の姿を必死に目で追っていた。

体が金縛りにあったかのように動かない。


死ぬな。頼む!死なないでくれ。


叫びたいのに声がでない。誰か、気づいてくれー。


強くそう念じた瞬間



屋上の入口からガヤガヤと集団が入ってくる声がした。


「今日こそ、ブっ殺してやるんだから!」


「わたしより先に手を出そうなんて百年早いんだよ。」


「思い知らせてやんないと!!」




集団は、晃を素通りしフェンス越えに躍起になっている彼女の方に向かって突き進んで行く。



「てめえ、ちょっと顔かしな!!」



女の子特有の甲高い声で必死にドスをきかせているではないか。


< 54 / 284 >

この作品をシェア

pagetop