ハート交換
わたしは、目に涙をためて精一杯泣くのを我慢した。


泣くもんか。泣いてはいけない。


そう思い、キュッと唇を強く噛みしめる。


「おい、お前らそこで何をしている!」


顔を上げて見ると、体育の男の先生がこちらに向かって走ってくるところだった。


「やばい!さっきの大男が誤解して先生呼んだみたい。」


「んじゃ、私ら行くけどとにかくアイツには気を付けるんだよ。」

急ぎ足で女子トイレをでながらリーダーは、そう忠告してくれた。


女子トイレを出る際に、金髪の女の子が「これ食べて今日のことは忘れるんだよ。」と板チョコをわたしの手のひらにのせて走り去った。



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