ナムストーンPART3

9.11-4

ムシャラフはうっすらと額に汗を浮かべ現実に目覚めた。
小鳥のさえずりも淡い太陽の日差しもすべてが新鮮だった。
何かがムシャラフの奥底で変化した。

日ごとに見るものすべてが慈しみの対象となってきた。
実務は変わらず多忙ではあったが心にゆとりができた。
ナムストーンが心のありようをそのまま表すこともよく分かった。

ナムストーンと唱えると石も心にも生命力がわいてくることを
何度も経験した。そうしたある日パソコンの掲示板に、

「不思議な石をお持ちの方いませんか?今度激しく振動し
青黒く輝いたら必死でナムストーンと祈ってください。
詳しいことは下記まで御連絡ください」

「ナムストーンだって!」
ムシャラフは驚いた。あの石と出会ったとき無意識に口をついて
出た言葉が”ナムストーン”だったが、不思議な一致だ。

世界ではもうかなり存在するのかもしれない。今度輝いたら
ということは、この9月に世界中でこの石は輝いたに違いない。
必死で鎮めようとしたが静まらなかった。

これからもこのようなことが起こりうるということだ。
ムシャラフは大きくゆっくりとため息をついた。
< 38 / 95 >

この作品をシェア

pagetop