ナムストーンPART3

イラク4

米国大統領ジョージブッシュはナムストーンと低くつぶやいて
どっかと椅子に腰を下ろした。一呼吸おいて再び立ち上がると、
唖然として立ち尽くしている高官たちをゆっくりと見回して、
おもむろに威厳をもって指令した。

「イラク攻撃態勢は直ちに解除し通常配備に戻すこと。次に
サダムフセインの死亡を確認しこのビデオを全世界に公開
すること。イラクの民主化勢力を支援し速やかに新政府を樹立
すること」

そして小さくつぶやいた。
「ふーむ、これだったのか、ドナルド」

      ーーーー
そのころオサムオサナイはひたすらナムストーンを唱えていた。
石は真夜中に激しくバイブレーションを起こしたままで
ずっと不気味に輝いていたからだ。

ところが明け方ピカッと閃光を放って振動はぴたりと止まった。
徐々に色はピンクに変化し再びドクンドクンと波打った。

『このピンクはあの時の・・・』
一息大きくついてオサムは大文字の夜のあの大きな瞳を思い出した。
その時である。テレビの画面に臨時ニュースが流れた。

「臨時ニュースをお知らせします!」
画面はフセイン自殺の瞬間をとらえていた。
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