アイツと私の世間事情
「伝えたい事があるの」

なんとあの恥ずかしがりな先輩が高野君の手を握って真っ赤になりながらもそう言ったのだ。

「私高野君の事が好き」

少し声が裏返りながらもしっかりとそう伝えた先輩はじっと高野君を見つめていた。

すると高野君は少し照れくさそうに頬をかいた後

「俺も好きです。」

とたんに先輩の顔がぱぁぁと明るくなるのがわかった。

良かった、本当に良かった。と満足して帰ろうとしたその時だった。

「んで、裕也と佐々木はいつまでそこに隠れてる訳?」

しっかりとこちらを見ながらニッコリと黒く微笑む高野君がいた。

「あちゃー、やっぱバレてたかー」

はいはい、降参降参と付けたしながら中島がさっとカーテンを開けた。

「え!?なんで、ばれてないはず…」

「いやいや、ばればれだから」

と苦笑する高野君。

…てか、最初からわかってたんだったら言ってよ!

そんな私の思いは、届かぬまま昼休みは終わるのだった。

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