甘く寄り添って
「時下さんがラフな格好をされているのを初めて見ました。いつもスーツですのでそのイメージしかなくて。」

「そうだな、こんな格好は日本にいる時はしたことがないよ。海外へ出ればこうだけどね。」

「どうしてですか、イメージが壊れるからですか?」

「そうじゃないよ、スーツだと気が敷き締まるし落ち着くからだ。」

「今はスーツではないからいつもと違うのですか?」

「開放的だな。ここは日本じゃないしね。外国人は日本人ほど細かく言わないものだ。個人主義だし他人の目を気にしないで生きられる社会だ。日本はそうはいかないだろ?」

「そうですね。」

彼は静かに会話をする人だった。

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