甘く寄り添って
「助かった。先方は英語が片言なのだよ。君の仏語で頼む。」

「はい。」

私は専門校で英語と仏語の他に韓国語を習得していた。

時下さんのお役に立てて嬉しかった。

お客さまは後日またお会いする約束をして帰った。

「悠、ありがとう。本当に助かった。」

「いいえ、お役に立てて私も嬉しいです。」

「僕は仏語は片言しか話せない。もっと勉強した方がいいな。悠のようにはいかないが。」

時下さんはデリカの出前をとってくれた。

「悪いな、宅配で。遅くなったから食べたら送ってあげよう。」

「ありがとうございます。」

「悠はこのままずっと薫のそばで働くつもり?」

「わかりません。何も考えてないのです。」

「君が来てからもう5年になると思うが、もし薫に解雇されるようなことになったら僕の所で働いてみないか?」

「時下さんに使っていただけるんですか?」

「そうだよ、別に驚くことじゃないだろう?」

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