甘く寄り添って
でも私の場合は別口だとも思った。

時下さんが小娘のような私を恋愛対象にするわけがない。

私は時下さんにとって単なるアシスタント並の存在でしかないのだから。

そこの所はちゃんと自覚していたから

燃えるような熱い想いとはぼど遠かった。

だから気づくのに時間がかかった。

ピーターなら何と言ってアドバイスしてくれるかしら?

「悠、もう食べないのか?」

考え事をしていて食べる手が止まっていた。

「時下さん、私は薫先生のお役にも立ちたいし、時下さんのお役にも立ちたいんです。どうしたらいいのかわからないのです。私はお二人のどちらの為にも働きたいんです。でもどうしたら両方とも満たすことができるんでしょうか?私にはとても無理です。私にはそんな力はありません。」

「もういいよ。君を悩ませたくはない。そんなつもりはなかった。僕が余計なことを言ってしまったな、忘れていいよ。」

「あっ。」私は知らない内に涙をこぼしていた。

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