甘く寄り添って
ε.彼に包まれて
ピーターが来日した。

「ピーター!元気だった?」

「悠、会いたかった。キスしていい?」ピーターは私の頬に軽くキスした。

「ちょっと見ない間に色っぽくなったね、誰のせい?」

「茂樹よ。」

「オーノー!自分の先見の目に恐怖を感じるよ。ところで彼は来ないの?」

「私だけ先に来たの。あなたと話したくて。」

「光栄だね。」

「実はあれ以来いろいろあってピーターにアドバイスをもらいたかったの。」

「僕からのアドバイスかい?」

「私、秘書を辞めたの。」

「秘書って、茂樹の元ワイフのだろ?」

「私、二人の板ばさみで悩んでいたの。だから思い切って辞めさせてもらったの。」

「そうだったのか、で、今は何をしているのさ?」

「何も、何もしていないわ。」

「彼にはそのこと、言ってあるんだろ?」

「一緒にフランスへ行かないか、と彼に誘われたの。」

「そりゃ良かったじゃないか、行くべきだ。それとも他に何かあるのかい?」

「私、迷っているの。」

「なぜ迷う必要があるんだい?」

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