甘く寄り添って
時下さんは180cmの長身だったけれど

ここでは中くらいの方だった。

時々彼を見上げながら相手としゃべる彼の声を聞き取った。

彼はさり気なく私の背中や腰に手を添えて前へうながした。

この時点でまだホテルのエントランスなのだから

一体いつになったらパーティ会場へ着けるのか疑問に思った。

パシャパシャとカメラのフラッシュもたかれて

今にもモミクチャにされそうだった。

私でさえTVで観たことがある海外の有名なジャーナリストの方々と

普通に話している時下さんに私はとても尊敬の念を抱いた。

すごい方なのだと今更ながら思ってしまった。

なぜ薫先生と離婚されるのかしら?

私には何も問題がないように思えるのに

素敵なご夫婦だと思うのに

こんなに身近な人がそうなることに

経験のない私には不思議に思えた。

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