プロテクト・ストーリー?
「そりゃ、いるだろ。 」
「でもさー、かつては、
清楚系からギャル系まで、
どんなジャンルの女の子でも、
みんな惚れさして遊んでたじゃん。」
「だから、それは、大学生までの話。
此処、5年は女から絶ってるよ。
好きなヤツも海に出逢うまで
いなかったからな。」
「はいはい。
でも、犯罪級だろ、女子高生とか。
9年も年下だぜ?」
「仕方ないだろ。
可愛くて可愛くて
どうしようもないんだ。」
「ハハッ。」
「んだよ。」
「良い表情するようになったなって。
カッコいいよ。」
そう言って、
拓は手のひらをヒラヒラと振りながら
自分の病棟へと向かった。
―自分の中の変化には、
自分自身でも気付いていた。
昔なら、好きなヤツができたなんて、
ただ恥ずかしいだけで、
それを誰かに話すだなんて、
いくら信頼をおける人間でも、
羞恥を曝すみたいにカッコ悪く、
バカげた行為に感じられた。
―だけど、今は違う。
周りからなんと言われようとも、
俺は海への想いを止められない。
それ程、誰かを想えることが
なんだか、今は、カッコ良く、
誇りに思える―そんな気がしたんだ。
―なんて、一人ごちながら、
俺も自分の病棟へ向かった。