プロテクト・ストーリー?
冷静さを崩すかのように
沸々と沸き上がる黒い黒い感情。
―これが所謂、
醜い嫉妬心だということは
すぐにわかった。
ちょっと、待てよ。
中学生や高校生じゃないんだから。
もう、いい大人なんだから。
こんな感情を態度や表情、
まして、行動に出すなんて、
もってのほかだ………そう思うのに。
―気付いた頃には、
身体が勝手に動いていた。
頭では理解できてても、
心と身体がついていかない…。
「うわっ!??」
「何してんの?」
片手で自転車を押さえて、
もう片方の手で、
海を引き寄せ、抱き締めた。
「蒼!!びっくりするじゃん!
っていうか、
もう、仕事終わったんだ!
じゃぁ、夕飯早く作らなきゃね?」
そう言う海が可愛くて。
海がそう言ってくれることが嬉しくて。
優しく笑うと、
海もニッコリと満面の笑みを見せた。
―けど。
「じゃぁ、私、もう帰るね!
バイバイ、奏君!!」
海は笑いながらその奏とかいうガキに
笑顔を見せた。
…ムカつく。
………マジで、ムカつく。
俺は家に向かって歩き出す
海の肩を引き寄せて、
自分の傍に置く。
「今日は何してたの?」
「えーっと、今日はねー………」
話し出す海の話を聞きながら、
俺は不意に後ろを向くと、
そのガキが俺を睨んでいた。
ふーん。やっぱり、そーゆーこと。
ガキの心情を読み取った俺は
ソイツを睨み返した。
―誰が渡すかよ。
コイツ、海は、俺のものだ。