プロテクト・ストーリー?



「…って、聞いてる?」



「え、あ、ごめん。」



「どうしたの?
仕事、大変だった?疲れた?」



心配そうに俺の顔を覗き込む海。
普段の俺なら、そんな海に
意地悪の一つでもしてやる
ところなんだが…。



「何でもねーよ…。」



余程、動揺したのか、
素っ気ない返事を返して
考え込んだ俺。



そのまま、マンションに帰っても、
何も喋らないまま、沈黙が続く。



いつの間にか
繋いでいた手を強く握り締めて、
海の顔を見つめた。



―取られたくない。
ずっと俺の傍にいてほしい。
他の男と会わせたくない。
喋らせたくない。触れさせたくない。



―部屋に入り、ドアを閉めて、
そのままキスをしようと
ギリギリまで顔を近付けた………が。



―ダメだ。
このままキスしたら、
絶対に止められない。
海が止めるのも聞かずに、
絶対、襲う。



「…はぁ………。」



―こんな歳にもなって、
自分自身が制御出来ない、
バカさ加減に、
自分自身の心の狭さと幼稚さに
呆れかえって、溜め息が出た。



とりあえず、一旦、
彼女から離れようと思い、
玄関にいた俺は靴を脱いで、
自室に向かおうとした。………ら。



「イヤッ!」



「!?」



海が俺の腕にしがみつくように、
抱きついてきた。



―何で………?



< 44 / 113 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop