プロテクト・ストーリー?



「「無理矢理連れて来られた先で
医者と同棲生活!??
しかも、キスまでした!?」」



「……………。」



美依と歩詩はセリフのようにハモって
私の今、話した内容を要約。
亜美は黙ったまま、
私の話を聞き続けている。



「もう!!止めてよ!!
みんないるのに!!」



「女子しかいないんだから、
別にいいでしょ。」



―こう言うのは、美依。



「そういう問題じゃないでしょ。」



「こうなったら、海から襲っちゃえ☆
狙え!玉の輿!!」



―そう言うのは、純情な顔して、
意外とディープなネタを話す歩詩。



「むっ、無理無理無理無理!!
だって、相手はエリートなお医者様で、
9歳も年上!!
恋愛対象なんて、みてもらえないよ!!」



「でも、優しいんでしょ?
キスとか、抱き締めたりとか、
況してや、『守る。』だなんて、
好かれてなかったら、
言ってもらえないよ?フツー。」



「…でも、蒼は大人だから…。
まだ幼稚な私じゃ、
蒼が何、考えてるか、わかんない…。」



「海の言う通りだね。」



―そこで初めて亜美は口を開けた。



「「「え?」」」



「だって、25歳なわけでしょ?
そんな年上、フツーなら、
相手なんてしてもらえない。
されても、遊ばれて終わるパターンが
現実では多いわね。
しかも、相手は医者。
頭は賢いし、金もある。
住んでるところもセレブ級。
しかも、それでいて、顔もイイんじゃ、
女なんて、選びたい放題。



何、考えてるか、わかんない。」



「…そーだよね…。」



「“普通なら”危ない。
“普通なら”ね。」



「“普通なら”???」



「うん。
でも、海の場合は、異例だね。



理由は簡単。
キスやハグはされても、襲われてない。
身体目当てなら、
家に引き込まれたら速攻ヤラレテル。




だから、
信頼しても…いいかも…しれない。



まだ、気は抜けないけどね。」



「う、うん…。」



「それに、海も嫌じゃないんでしょ?」



「え?」



「拒否反応を見せる姿が全くない。
嫌だったら、
『キモイ。』とか、
『ウザイ。』、『ムカつく。』
―とか、なんとか、
いろいろ拒否反応を見せる言い種を
するでしょ?」



「嫌…ではないんだ…。
それどころか、
蒼に抱き締められると、
本当に守られてるみたいで、
安心するんだ…。」



「そっか…。



でも、何かあったら、すぐに言いなよ?
必ず、助けに行くから!」



そう言う亜美に、



「私も助けに行くよ!!」



「私も!私も!海を助ける!!」



賛同する、美依と、歩詩。



―まただ。
私を助けてくれるのは、蒼だけじゃない。



こんな素敵な仲間がいる。



事件が起こる以前は、
私、波、亜美、美依、歩詩で
一緒にいたんだ。



でも、こんなに力強い仲間だなんて、
気付かなかった…。



すごく、すごく、
みんなの存在に助けられる…。



「ありがとう。」



嬉くって、満面の笑みを見せて、
お礼を言うと、
みんなも笑って頷いてくれた。



―そんな風に幸せを感じていた、
その時だった…。



『2学年、A組、漣 海。
今すぐ職員室に来なさい。
繰り返します。
2学年、A組、漣 海。
今すぐ職員室に来なさい。』



呼び出された私は、
みんなに連れられ、職員室に向かった。


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