プロテクト・ストーリー?
「可愛いな。マジで。」
「えっ?」
急に何を言い出すのかと、
吃驚して彼を見ると、
ものすごく
優しい表情をしている蒼と目が合った。
「素直なトコロが、スゲー可愛い。」
「どうもッス。」
いつもの私なら、
『お世辞は結構です。』とか、
『そんなこと言ってないで、勉強!』とか、
軽く受け流したり、話題を変えたりして、
大人な蒼の言葉に飲まれないように
云わば、正当防衛かのように
私は誉められればその言葉を否定する。
だけど、今日は。
なんだか、
蒼にそう言われたことが嬉しくて。
真に受けてしまっていた…。
その原因は、
蒼のものすごい優しい表情を
していたからだと思う。
…だって…、
こんな表情をしている人が、
嘘やお世辞で言葉を発しているなんて、
全く思えなかった…。
蒼に見つめられ、
私の心臓の鼓動は
あり得ないスピードで打ち付けていた。
「………勉強、頑張ろうぜ?」
「…あ…、………うん。」
ーもう少し、見つめ合ったままでいたかったと
思ったような気がしたのは、
きっと、勘違い。