プロテクト・ストーリー?
警告と誘惑と守るべきものと。蒼SIDE
「今日は、サンキューな。」
「ああ、別にいいよ。
理由が理由出しな。
また、奢ってもらうさ。」
「はいはい。」
夜勤の俺と日勤の拓が
入れ替わるロッカールームで
そんな会話をしながら笑い合っていた
俺たち。―だったけど。
「…なー、蒼。
誘惑に負けんなよ。」
「へ?」
急にそんなことを真剣な表情をしながら
切り出した拓。
「…昨日、お前、
箍外れかけたんじゃねーの?」
―――………ギクッ。
「その表情(かお)だと、図星ってことだな。」
―俺、そんなに顔に出る
タイプだったっけ?
それとも、拓だから、
わかるのかもしれないけどさ…。
「止めとけよ…。」
「え?」
「海ちゃんに手、出すの。」
そう言って真剣な表情をして、
しっかりとこちらを向き直った拓を見て、
俺はゴクリと唾を飲み込んだ。
「お前が遊んでる間は
フザケてても、何も思わなかった。
相手も相手だったしな。
けど、本気なんだろ?
海ちゃんのこと…。」
「ああ。」
「それなら、
簡単に手を出すべきじゃない。
本気なら、
それ相応の紳士な態度を見せなきゃ。
それに、海ちゃんと蒼は歳が離れてる。
不安にさせるべきじゃない。」
―拓に言われるのは癪に触る。
だけど、コイツがいうことは最もだし、
なんだってコイツは、
俺と違って真剣な恋愛しか、してきていない。
つまり、遊ぶようなフザケた恋愛はせず、
本当に心の底から本気で好きになる
真剣な恋愛しかしたことがない。
…口と容姿は、一見、
遊んでいるように見えるが、
実は切実な人間であり、
そんな人が言う言葉だから、
ものすごく説得力があった。