プロテクト・ストーリー?
『ただいま』と、いつものように
玄関で口を開いた俺。
だけど、いつものように迎えてくれる
明るい笑顔は走って来なくて。
不思議に思いながら若干の焦りを感じて
俺はリビングへと足を進める。
―が。リビングにも
カウンターテーブルに繋がるキッチンにも
海は居ず。
「…嘘だろ!!
今更逃げるとか、アリかよ!??」
―昨日の電話の様子じゃ、
そんなことは全く予想できなかった。
俺は完全に慌てて一つ一つの部屋を
探し始めた。
「………ったく、俺はバカかよ…。」
―あんなに、焦ったのに。
―あんなに、慌てたのに。
海は寝室でいつものように
幸せそうな寝顔を見せて眠っていた。
本当に幸せそうな表情に、
俺まで幸せになる。
俺は彼女にそっと近付いて、
ベッドに腰掛けて、
海の頬にそっと触れて、撫でた。
「……………ふふっ…。」
夢でも見ているのか、
微かに笑みを見せる海。
―嗚呼、愛しい…。
「…これくらい、許せよ…。」
寝ている海に許しを乞う。
………聞いても、いないだろうけど…。
そのまま、唇にキスを落とした。