プロテクト・ストーリー?

気分転換は状況打開の基本。海SIDE




―やってしまった。
とうとう、やってしまった。



私を抱き締めて眠る蒼が妙に可愛くて。
年上でいつも偉そうにしている蒼が
妙に可愛くて。



私は深い眠りに就く、
彼の頬にキスしてしまった。



―嗚呼、やってしまった。



そう思うけど。
こんな動揺している私を見れば、
勘が鋭い蒼は
気付いてしまうかもしれない。
そうなれば、どういう反応されるか、
わからない。
―はっきり言って、怖い。



私がキスしたことで
蒼がどう思うかわからない。
もし、拒否されたら、
どうしよう………?
すごく、すごく、怖い…。



だから、私は、隠すことに決めた。



――――――――――――――――――――――



「…はよー…。」



くしゃくしゃの寝癖のついた頭を
ポリポリと掻きながら蒼は寝室から出てきた。



「………ふふっ。」



その姿が、あまりにも可愛くて。
歳といつもの態度とは
かけ離れて可愛くて。



私は、思わず笑ってしまった。



「…んだよ?」



笑ったことに少し不機嫌になる蒼。



「可愛いなーって。」



それでも止まらなくって。
笑いながらそう言うと、



「あ、そ。」



拗ねたように返してきた。
それがまた、可愛いんだよね…。



「昼御飯、出来たよ!オムライス!!
食べよう?」



そう笑顔で言うと、



「おう。」



さっきの表情とは、
うって変わって、蒼は笑顔になった。



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