「1つだけ、嘘をついたんだ」
永人の手つき一つ一つは全て、優しくて、温かかった。


漏れる声が、自分のものとは思えなくて、でもそれをしっかりと受け止めてくれた。


「っえいと・・・・・・?
わたしも、愛してるからね」


一つになったとき、涙が出た。


痛かったからじゃない。

最高に嬉しくて、とても寂しくなったんだ。


「璃羽・・・・・・?
大丈夫?
痛かった?」


「痛くない。
痛くないの。
永人、遠くに行かないで。
ずっと、私のそばにいて?」


わがままなことくらい、分かってる。


無理だってことも、知ってる。


だけど、口は頭とは逆に溢れてきたんだ。



「僕だって、一緒にいたいよ。
成人して、もっと美しくなった璃羽も、
仕事を始めて、悩む璃羽も、
おばあちゃんになった璃羽も、
独り占めして見たいくらいなのに」


そして、わたしのおでこにそっと口付けをした。


永人の目から一筋の涙がこぼれた。



「ごめんね、永人。
私、強くなるから。
勉強だって記憶力のなさを言い訳にしない。
独り言だって、減らす。
自分で紅茶、淹れれるようになるよ」


そして、永人の目をじっと見つめる。


「でもね、あと少し、
永人がいる間は、甘えさせて?
この温もりを、覚えさせて」


永人の手は温かかった。

その手に、私の手を絡める。


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