「1つだけ、嘘をついたんだ」
涙で視界があやふやになっていた。
「そんなこと、あるわけないよ。
私がどれだけ、永人のこと好きか知らないでしょ?
すっごく、すっごく、大好きなんだから!」
涙を一生懸命拭い、体を少し離して、目を見て言った。
「知ってるよ、だって僕だもん」
永人は優しく微笑んだ。
「ねえ、キスしていい?」
照れくさそうに、目をそらしていう永人が愛しくて、首を強く縦に振った。
柔らかい永人の唇が触れる。
甘酸っぱくて、甘くて、キスってこんなに幸せなんだ。
そっと唇が離れると、頭を掻きながら言った。
「お義父さんに、気付かれないかな?」
「大丈夫。
うちのお父さんだって、分かってるよ。
それに、もう止められないでしょ?」
止まらないのは、私だった。
だけど、永人も同じみたいだった。
「うん、止める予定もないけどね」
さっきまでは拒否してたくせに、とは罵らなかった。
というか、罵れなかった。
気付けば、ベットに押し倒され、見つめ合っていた。
「璃羽、愛してるよ」
ずっと欲しかった愛の言葉を、初めて貰った。
でも「好きだよ」よりも、何倍も温かい言葉だった。