【短編】恋しちゃダメですかっ?
やっぱり、カップルを見て、小太郎のことを思い出したわたし。
最近、こないなぁ?
どーしてんだろっ。
そう思った瞬間、ことねのまわりの白い砂が、少し風に舞う。
『ことね、ちゃん。
呼んだ?ひさしぶりじゃん。』
「小太郎…くん?
えっ!?お昼でも、これるんだぁ。」
『うわっ〜気持ちいいっ。海の風が気持ちいいっ。』
「風を感じるの?
ってか、みんないるんだけど、見えてないよね。」
『あっ、ヤバイ。』
「ど、どうしたの?」
「ぎゃあ〜。」
あくびちゃんが、こっちを指さし、後ろにバタッと倒れた。
「そ、そこに、いるよ。
お、男の子。」
そういい、身体をブルブルと震わせる。
まわりのみんなは、何にも見えないらしくて、ぽかんとしたまま、動かない。
『ことねちゃん、ヤバいから、夜に部屋で待ってるよ。じゃあ。』
小太郎はそういい残し、ことねの前から、すぅーと消えて行った。