【短編】恋しちゃダメですかっ?
「わたしが、はっきりと見えてるんだね。」


『あははっ、そうだね。』

「このまま、ずっと、わたしには、小太郎くんの姿がみえないまま…」


『ううん、方法があるんだよ。』


「方法って…?」


『一年に一回だけ、人間の女の子がお願いしてくれたらねっ。』


「わたし、小太郎くんに逢いたいよ。」



ことねは、ついに本音を言ってしまう。



『じゃあ、僕の三つのお願い聞いてくれる?』


「うん、引き受けてあげる。」


『じゃあ、お願いしょうかな?』


「今ね、どのへんにいるの?」


『君の目の前にたってるよ。』



ことねは、まだ見えない、小太郎の姿を思い浮かべ、両手を差し伸べる。



『ごめん、まだ触れないんだ。』


「小太郎くん、まだ消えないで。」



少し生ぬるい風が部屋にはいり、小太郎はそのまま、消えていった。



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