【短編】恋しちゃダメですかっ?
月に帰った小太郎は、あの病院での入院生活を思いだしていた。


今から8ヶ月前。


僕がこの世から消える2ヶ月前。



いつものベットでいつものように、ぼんやりと窓の外を見つめていた。


薄暗い空に、粉雪が舞い、強い風と共に、消える。


そんな雪に触れてみたくて、僕は窓をあけ、両手をいっぱいに伸ばし、手のひらで消えてゆく雪を眺めていた。



そんなしっとりした空気とは裏腹に、賑やかな声がして、僕は、そちらに目をむける。


友達の輪の中にはいって、楽しそうに笑っている、君の笑顔がそこにあった。


僕はあの時と同じように、すぐに胸がキュンと高鳴って。


あの頃とは何も変わってない君の顔をみたとたん、すぐに、君ってわかったんだ。


長い年月をかけて変わったもの。

それは、泣き虫だった白いワンピースの少女が、今度は、紺のスカートをヒラヒラとなびかせ、友達の中心で笑っていたことだった。


あの時から僕の心には、君がいたのかもしれないね。


僕はあの時と同じで、君の姿を、窓からみるだけで…


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