【短編】恋しちゃダメですかっ?
そして僕は、消えてからも、こうやって未練たらしく、君につきまとっている。


僕は我慢できずに、目をとじ、すう〜と体を浮かせ、今日もまた、君の部屋にきてしまう。


君の寝顔をみていると、頬に手を添えたくなった。


君には何も見えない、僕の透明な手で、君の頬をなぞる。



君には、怖い思いをさせているのかもしれないね。


君の前に突然やってきて…







突然ノックの音がして、扉があいた。


小太郎は、それでも、ことねの、そばにいた。



ゆきさんだ。



「ことね、寝た?」


ことねは寝息をたてながら、熟睡していた。


寝ていることねに、ゆきが話かける。


「あんたさぁ、最近やっぱりおかしいよ。心配だから、あたしでよかったら、きくからさぁ、言ってほしいんだよね。今日だってなんで、病院に?
ことね、あたしでダメなら、きよにでも。ね。
じゃあ、おやすみ。」



ゆきは、寝ている、ことねの頭をゆっくりと撫でて、部屋をでていった。



それを見ていた、小太郎は、涙をこらえて


『いい、お姉さんだね。
僕、複雑だよ。
ことね、僕は…』



小太郎は、言いたい言葉を飲み込み、月へと飛んでいった。



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