彼が幸せであるように
 
 
記憶を無くしたとき――
 
昔、私が病院のベッドで目を覚ましたら
何かがゴッソリと抜けていた。
それが記憶だというのは、母と話してから気づいた。
 
 
『よかった、目が覚めて。
**ちゃん達も心配してたのよ』
 
 
母がいう、**ちゃん。
おそらく私の友達。
 
 
でも、私にはそれがわからなくて。
 
 
『**ちゃんて、だれ?』
 
 
それから学校に戻っても、
誰のことも覚えてない私はクラスで浮いてしまった。
 
それから卒業まで、
必要以上皆と関わる事は無かった。
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