彼が幸せであるように


あれから何も言えず、とりあえず店を出た。
二人で街を無言で歩いている。
 
気まずい…
何か喋らなきゃ。 
 
何を喋ろう。
 
とにかく、私は何かを話そうと口を開いた。 
 
その時――――
 
 
ドンッ
 
「いった…」
 
誰かと、ぶつかった。
ぶつかった拍子に尻餅をついてしまった。
 
謝ろうとぶつかった相手を見上げた。
 
「…っ!!」
  
 
男、だ。
 
男とぶつかってしまった。


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