彼が幸せであるように
 
 
「王子サマってなにそれ。童話みたい」
 
「いやほんとにいるんだって。
私は見たことないけどね」
   

芽衣の話によると、
すっごくかっこいい、
そう、王子様みたいな人が
この大学にいるらしい。
 
 
  
「会ってみたいな~。そう思わない?」
 
イケメンが好きな芽衣は
目をキラキラさせている。
 
私はいいや、というと、
芽衣は残念そうにしていた。
  

正直、男が苦手だ。
昔から、理由はわからないけど、
男に触られるだけでゾッとした。
 
高校生の時、
電車で痴漢をされたときは気持ち悪くて、
ずっと家に引篭もっていた。
 
道端で男とすれ違うだけでも
ぞわりと鳥肌がたつのを感じる。
 
 
芽衣に話すと、
『誰も雪音なんて狙わないから~自意識過剰!』
 
と笑っていたけれど。
それでも、どうしても、コワイ。
 
 
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