彼が幸せであるように


いつも通り結城くんは、
私の手をきゅっと握り
ゆっくりと歩き出した。
 

「どこ行くの?」
 
「行きたいとこがあるんだ」
 

行きたいところ?
どこだろう。
 

「俺達の、思い出の場所」
 
そう言って、結城くんは私の手を握ったまま走り出した。
 
 
それから十分後。
 
「っはあ、はあ」
 

急に走り出したから、息切れがすごい。
汗もダラダラ。
 
まだ春なのに、気分は夏だ。
 

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