彼が幸せであるように


「断られたけどね」
 
ははは、と笑う彼を見て
なんともいえない気持ちになった。
 

胸が締め付けられて
どうして、どうしてって
自分をずっと責めている。
 

どうして忘れてしまったんだろう。
 
「雪音のことがすっごい好きだったんだよ。
ガキだったけど、ガキなりに恋してた。
だから『もっと大きくなったら結婚してください』って言ったんだ」
 
でも、
 

「俺の精一杯のプロポーズをさ
雪音は『えー、やだ』って断ったんだよ」
 
ひどいよなあ。
 
「…っ」
 
「あれ、雪音、泣いてるの?」
 
不安そうに結城くんは私の顔を覗き込んだ。
 
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