彼が幸せであるように


この時私は
幸せすぎて、何も考えられなかった。
 

とにかく好きで、伝えたくて。
 
 
だから、忘れていたんだ。
 
 
――『知らなくていいの。雪音には関係ないことだからね』
 
――『結城にあんまり関わらないでほしい』 
 
 
耳の奥で、警報が鳴り響く。
 
 

それに、私はまだ気づかない。
......気づけない。
 
 
 
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