彼が幸せであるように
第三章


「結城くんと付き合うことになった」
 
――私の気持ちを伝えた、あの日。
私達は付き合う事になった。
 
次の日、二限が一緒だった芽衣にその報告をした。
 
「……は?」
 
報告をしてから、芽衣はぴたりと停止した。
数秒後には目に見えて怒っていた。
 
「ねぇ、私の話聞いてた?」 
 
「聞いてたよ、でも…好きなの」
 
「好きでもダメ。あいつはダメなの」
 
「どうしてっ」
 
どうして、芽衣はそんなに結城くんを否定するのだろう。
 
――『結城』
 
芽衣は、結城くんの事を、『結城』って呼んでいた。
男の事を名前で呼ぶなんて、めずらしいのに。
 
まさか
 
「…芽衣は、結城くんの事がすきなの?」
 
だから反対するんじゃ……。
 

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