彼が幸せであるように
「ふざけないで。あんなやつ好きじゃない」
キッパリとした口調で答えられてしまった。
好きじゃないなら、どうしてこんなに反対するんだろう。
…どうして、どうしてって
馬鹿みたいに何度も思う。
こんな事初めてだった。
「私は、あんたに嫌な思いしてほしくないの」
「嫌な思いなんてしないよ」
「するのっ!!」
「しないっ!!」
はぁ、とため息を吐いた芽衣は、
目をキリッと開いて私を見つめた。
「……あんたはなんもわかってない。
結城はっ…雪音を殺すかもしれないのにっ」
――殺すかもしれないのに。