そばにいたこと
その日から、君と親しく言葉を交わすことは当分なかったね。
近くにいたくても、話しかけたくても、臆病な僕にはそれができなかった。

あの日、軽々しく告白の言葉を口にしようとした自分が、嫌で仕方がなかった。
もしもあれがなければ。
あんなこと言わなければ、僕は今までと同じように、君と笑い合うことができただろうに。

でも反対に、あの日言わなければ、もう二度と言い出せないような気がしていて。


もやもやした気持ちをぶつけるように、野球に打ち込んだ。
毎日毎日、ランニングと投球練習をした。
どんなに練習しても足りないような気がしていて。

あの頃の僕は何かに憑りつかれたように、寝る間も惜しんで練習に励んでいた。
苦しいという感情さえも消え失せるくらいに。
そう、明らかに無理をしていた。


そして、運命の初戦はやってきた――
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