そばにいたこと
第2章 君の隣で

初戦

ピリピリとした緊張感の中、僕は黙々と最終調整をしていた。

――失敗は許されない。

僕は焼け付くような日差しの中、たった一人、マウンドに立った。


太陽がまぶしい。
始まりの合図が、心を奮い立たせるように球場に響き渡る。


僕はゆっくりと目を閉じる。


ここに立つとき、いつも僕がやっていることだった。


目を閉じて、すべての感覚を遮断する。

応援の声も、吹奏楽のファンファーレも、照りつける日差しも、土ぼこりも。

何もかもが僕の中からフェードアウトしていく。


目を開けると、一番打者がバットを構えていた。

キャッチャーの合図にうなずいて、大きく振りかぶる。

全神経が、僕の右手の肘に、手の平に、指先に集中する。


放ったボールは真っ直ぐな線を描いて、ぽす、とミットに収まった。

歓声が上がる。


僕は、表情を崩さないで、軽くうなずいて見せた――
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