そばにいたこと
次の打者は、と向き合う前に、僕はそっと右肩を回そうとした。
でも、なぜか回らなかった。
まるで、自分の身体ではないみたいに。
次のバッターは、僕の最初の打球を打ち返した。
スリーベースヒット。
2アウト、バッター1塁、2塁。
僕は、背中から冷や汗が吹き出してくるのを感じた。
僕が初めて迎えたピンチだった。
それも、決勝の、この舞台で。
僕らのチームが守ってきた2点など、ホームランでも打たれたら簡単に逆転されてしまう。
――焦るな。まだ7回だ。
自分に言い聞かせる。
そして、軽く目を閉じた後、僕は――
肩に走ったのは、今度こそ正真正銘の「痛み」だった。
打ち返されるカキーン、という気持ちの良い音。
青空を、どこまでもどこまでも飛んでいく白球。
だれの目にも明らかだった。
ボールを追いかけようとは、誰もしなかった。
そして僕は、右肩を押さえながら、崩れ落ちるようにその場に座り込んだ――
でも、なぜか回らなかった。
まるで、自分の身体ではないみたいに。
次のバッターは、僕の最初の打球を打ち返した。
スリーベースヒット。
2アウト、バッター1塁、2塁。
僕は、背中から冷や汗が吹き出してくるのを感じた。
僕が初めて迎えたピンチだった。
それも、決勝の、この舞台で。
僕らのチームが守ってきた2点など、ホームランでも打たれたら簡単に逆転されてしまう。
――焦るな。まだ7回だ。
自分に言い聞かせる。
そして、軽く目を閉じた後、僕は――
肩に走ったのは、今度こそ正真正銘の「痛み」だった。
打ち返されるカキーン、という気持ちの良い音。
青空を、どこまでもどこまでも飛んでいく白球。
だれの目にも明らかだった。
ボールを追いかけようとは、誰もしなかった。
そして僕は、右肩を押さえながら、崩れ落ちるようにその場に座り込んだ――