そばにいたこと
どれくらい経っただろう。
手術室の前の椅子には、彼女の両親が座っていた。

だから僕は、廊下を曲がったところで床に座り込んでいた。

寒さなんて、感じなかった。
恥ずかしいとも思わなくて。

ただ、祈っていたんだ。

君が無事に、手術室から出てくるその時を。



手術中のランプが消えて、僕はよろけながら立ち上がった。



彼女の両親に対して、執刀医が話している言葉に耳を傾ける。




「大丈夫です。手術は成功しました。」




それを聞いて、僕はほっと胸を撫で下ろした。
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